撮影モード 〜 Shooting Mode
理想に近づくために
理想的なアイスホッケー写真とは? 一例を挙げると、こんな感じになりませんでしょうか。
こうした1枚を撮るために、カメラの設定に頭を悩ませている方が多いと思います。しかしながら、トップページで触れたように、撮影条件の厳しいアイスホッケーでこの全てを叶えるのは大変なことです。
撮影の現場では何を優先し、優先しなかったものを後工程でどう補えば、理想に近づけるか、トータルで考えてみます。
- 動きがピタッと止まっていて
- 白い氷面やフェンスを背景にしても明るさが適切で
- ノイズが少なく鮮明
こうした1枚を撮るために、カメラの設定に頭を悩ませている方が多いと思います。しかしながら、トップページで触れたように、撮影条件の厳しいアイスホッケーでこの全てを叶えるのは大変なことです。
撮影の現場では何を優先し、優先しなかったものを後工程でどう補えば、理想に近づけるか、トータルで考えてみます。
撮影時のカメラ設定 〜 シャッタースピードと絞りの関係
カメラが取り込む光の量は、シャッタースピードとF値(絞り値)の組み合わせで決まります。適切な明るさを維持しつつシャッタースピードを上げたければ、絞りを開ける(F値を小さくする)必要があります。逆に、F値を上げたかったらシャッタースピードを下げる、というように常に相反します。
露出を決定するシャッタースピードと絞り値 | ニコンイメージング
露出を決定するシャッタースピードと絞り値 | ニコンイメージング
シャッタースピードが速いと何が良いのか?
アイスホッケーの撮影においては言うまでもなく、選手の動きを止めた写真を撮れることです。シャッタースピードが遅いと、動体ブレを起こします。
絞りを絞る/開けると何が良いのか?
絞りを開ければ、その分シャッタースピードを上げることができます。
では、アイスホッケーの撮影で絞りを絞る(F値を大きくする)ことに意味があるのでしょうか? 「被写界深度」に注目してみます。
Av(絞り優先AE)モードで撮ってみましょう | Global.Canon
露出 | デジタル一眼レフカメラの基礎知識 - ニコンイメージング
絞りの設定は、シャッタースピードだけではなく、ピントが合って見える範囲の「奥行き」にも影響を与えています。シャッタースピードを上げるために絞りを開けると、意図せずともピントが合う範囲を狭めているのです。
狙った選手にピントが合いさえすれば、その前後がボケようと問題ありません。「背景をボカして写真の主役を際立たせると、その写真の主題が明確になる」と一般の写真講座でも推奨されます。
しかしながら「ピントが合う範囲が狭い」ときには正確なピント合わせが必要になり、動きの速いシーンを撮る際にピントを外すリスクが高まる、ということにもなります。ピントが合う範囲に奥行きがあれば、撮りたい選手の多少前後にピントが合ってしまってもピンボケを回避できる余地が生まれます。
「絞り開放で背景ボケを最大にして主題を浮かび上がらせる」「絞りを絞って被写界深度を活かす」どちらを選ぶかは撮る人次第です。Resource on the Web ページで紹介しているフォトグラファーには、どちらを好んでいるかを述べている人が、それぞれにいます。
では、アイスホッケーの撮影で絞りを絞る(F値を大きくする)ことに意味があるのでしょうか? 「被写界深度」に注目してみます。
Av(絞り優先AE)モードで撮ってみましょう | Global.Canon
露出 | デジタル一眼レフカメラの基礎知識 - ニコンイメージング
絞りの設定は、シャッタースピードだけではなく、ピントが合って見える範囲の「奥行き」にも影響を与えています。シャッタースピードを上げるために絞りを開けると、意図せずともピントが合う範囲を狭めているのです。
狙った選手にピントが合いさえすれば、その前後がボケようと問題ありません。「背景をボカして写真の主役を際立たせると、その写真の主題が明確になる」と一般の写真講座でも推奨されます。
しかしながら「ピントが合う範囲が狭い」ときには正確なピント合わせが必要になり、動きの速いシーンを撮る際にピントを外すリスクが高まる、ということにもなります。ピントが合う範囲に奥行きがあれば、撮りたい選手の多少前後にピントが合ってしまってもピンボケを回避できる余地が生まれます。
「絞り開放で背景ボケを最大にして主題を浮かび上がらせる」「絞りを絞って被写界深度を活かす」どちらを選ぶかは撮る人次第です。Resource on the Web ページで紹介しているフォトグラファーには、どちらを好んでいるかを述べている人が、それぞれにいます。
撮影時のカメラ設定 〜 ISO感度
写真用語集 - ISO感度 - キヤノンイメージゲートウェイ
シャッタースピードや絞りとは異なり、アイスホッケーの撮影で意図を持って特定のISO感度を設定することはほとんどないと思います。画質のためには上げたくないけど、シャッタースピードを速くしたり、絞りを絞るために上げざるを得ないパラメータです。
ISO感度を上げるとノイズが増えます。どの程度までなら許容範囲か、自分の基準を決めておきましょう。
シャッタースピードや絞りとは異なり、アイスホッケーの撮影で意図を持って特定のISO感度を設定することはほとんどないと思います。画質のためには上げたくないけど、シャッタースピードを速くしたり、絞りを絞るために上げざるを得ないパラメータです。
ISO感度を上げるとノイズが増えます。どの程度までなら許容範囲か、自分の基準を決めておきましょう。
撮影時のカメラ設定 〜 撮影モードの選択
シャッタースピード優先
絞りは、カメラが判断する適正露出を得られるように設定されます。シャッタースピードを上げていくにつれて絞りは開いていきます(F値が小さくなっていきます)から、最終的にはレンズの開放F値になるでしょう。それでも暗いとISO感度を上げて補うことになります。
シャッタースピード優先モードでは、自分が望むシャッタースピードで撮れますが、被写界深度によるピントの奥行きを得られなかったり、高感度ノイズを受容しなければなりません。
シャッタースピード優先モードでは、自分が望むシャッタースピードで撮れますが、被写界深度によるピントの奥行きを得られなかったり、高感度ノイズを受容しなければなりません。
マニュアル
シャッタースピードと絞りを設定します。その組み合わせで適正露出を得られるよう設定する必要があます。
シャッタースピードを上げて、絞りも絞って、という贅沢な設定が操作上はできますが、露出を確保できるかどうかはISO感度に依存します。
ISO感度「Auto」は使ったことがありませんが、思いもしない高感度が選択されてノイズだらけになったら台無しです。リンクの実際の明るさの下で十分にテストするか、上限値を設定しておきましょう。
ISO感度をマニュアルで設定する場合、氷上のどこに合わせるかが重要になります。センタースポット付近で適正露出が得られても、ゴール裏フェンス際など暗いところでは露出不足で暗い写真になってしまいます。
マニュアル・モードでは、自分が望むシャッタースピードとF値で撮れますが、ISO感度設定含め、最適な露出を自分で探さなければなりません。
シャッタースピードを上げて、絞りも絞って、という贅沢な設定が操作上はできますが、露出を確保できるかどうかはISO感度に依存します。
ISO感度「Auto」は使ったことがありませんが、思いもしない高感度が選択されてノイズだらけになったら台無しです。リンクの実際の明るさの下で十分にテストするか、上限値を設定しておきましょう。
ISO感度をマニュアルで設定する場合、氷上のどこに合わせるかが重要になります。センタースポット付近で適正露出が得られても、ゴール裏フェンス際など暗いところでは露出不足で暗い写真になってしまいます。
マニュアル・モードでは、自分が望むシャッタースピードとF値で撮れますが、ISO感度設定含め、最適な露出を自分で探さなければなりません。
絞り優先
パンフォーカスは風景写真などで極端に絞る技法で、アイスホッケー撮影では使わないでしょうし、シャッタースピードに優先して特定のF値にこだわることもほとんどないと思います。
ちなみに、日中の屋外など撮影条件の良いスポーツ撮影で、「背景ボケを出すために絞りを開放で固定したい」ときに絞り優先にすることがあるそうです。シャッタースピード優先ではカメラが勝手に絞り込んでしまいます。絞り優先で開放ならば、日中の屋外ではシャッタースピード数千分の1秒が出るので、スポーツ撮影には支障がないそうです。
これを逆に考えて「シャッタースピードの遅さ、すなわち動体ブレのリスクを許容する代わりに露出をカメラに任せたい(写りが暗くなることを回避したい)」という場合は、アイスホッケーの撮影でも絞り優先で開放値に設定することはアリでしょう。
ちなみに、日中の屋外など撮影条件の良いスポーツ撮影で、「背景ボケを出すために絞りを開放で固定したい」ときに絞り優先にすることがあるそうです。シャッタースピード優先ではカメラが勝手に絞り込んでしまいます。絞り優先で開放ならば、日中の屋外ではシャッタースピード数千分の1秒が出るので、スポーツ撮影には支障がないそうです。
これを逆に考えて「シャッタースピードの遅さ、すなわち動体ブレのリスクを許容する代わりに露出をカメラに任せたい(写りが暗くなることを回避したい)」という場合は、アイスホッケーの撮影でも絞り優先で開放値に設定することはアリでしょう。
Post Processing で補える要素
Lightroom や DxO PhotoLab で対応できる補整の概要です。トピックによっては別途深く取り上げるかもしれません。
露出
露出不足で暗い写真を、明るく補正できます。写真全体を一律に明るくするだけではなく、暗い部分のみ、明るい部分のみ、と部分的に明るくしたり暗くしたりできます。
アイスホッケーの写真で全体を一律に明るくすると、氷面の白が明るくなりすぎて眩しい仕上がりになってしまうことがあります。そのような場合には暗い部分から明るくしていくと良いです。
アイスホッケーの写真で全体を一律に明るくすると、氷面の白が明るくなりすぎて眩しい仕上がりになってしまうことがあります。そのような場合には暗い部分から明るくしていくと良いです。
高感度ノイズ
ISO感度を上げていくにつれて増えるノイズを軽減することができます。特に DxO PhotoLab でRAWデータのノイズ軽減を行ったときの効果は強力です。
ただし、ノイズを除去する過程でディテールが失われるので、画像の繊細さが損なわれます。ひどいときには、絵の具を重ね塗りしてべたーっとした油絵のようになることもあります。
ただし、ノイズを除去する過程でディテールが失われるので、画像の繊細さが損なわれます。ひどいときには、絵の具を重ね塗りしてべたーっとした油絵のようになることもあります。
シャッタースピード
ピントが甘い写真を補正する手立てが無いことは無いですが、シャッタースピード不足による動体ボケまでは補正できないでしょう。
Photoshop Lightroomでピンぼけ写真を修正する方法 | Adobe Photoshop Lightroom CC tutorials
Photoshop Lightroomでピンぼけ写真を修正する方法 | Adobe Photoshop Lightroom CC tutorials
※ 2019年前半に「Topaz Sharpen AI」という、画像をシャープに補整することに特化したソフトウェアがリリースされました。「画像をシャープに」ページ でご紹介しています。
まとめ
冒頭の問いかけに自答すると、「撮影の現場では、より速いシャッタースピードで、ピントが合った写真を撮ることを優先し、露出や画質は Post Processing でカバーするよう努めている」となります。