2022 秩父宮杯 第69回関東大学アイスホッケー選手権大会での撮影詳細
照明が暗いアイスアリーナでの撮影, 編集事例
照明がLEDに置き換わり明るくなって撮影条件が良くなったアイスアリーナが増えています。しかしその明るさに慣れてしまうと、暗いアリーナで撮影する際の画質低下に悩まされます。4/9(土)〜5/1(日) に開催されたAグループで試行錯誤して最終的に落ち着いた、明るさ(露出)や高感度ノイズに関係するカメラ設定, 編集処理をご紹介します。
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撮影時のカメラ設定
使用機材 : Sony α9, FE 70-200mm F2.8 GM
撮影モード : M (マニュアル露出)
アイスホッケーの写真撮影では、白い氷面が露出設定を難しくします。カメラの自動露出では、白い氷面の明るさに対応して露出を下げるために選手が暗くなることが多くなります。選手の明るさが適切になるようマニュアル露出を選択しています。
しかしながら選手に露出を合わせると、氷面が明るくなりすぎて眩しい印象の写真となってしまう側面もあります。これには撮影後の編集で対応しています。
しかしながら選手に露出を合わせると、氷面が明るくなりすぎて眩しい印象の写真となってしまう側面もあります。これには撮影後の編集で対応しています。
シャッタースピード (SS) : 1/800
スポーツ撮影ならばもっと SS を上げたくなりますが、LED照明下で明るいアジアリーグの試合でも 1/1000 で撮っています。これは、スラップショットやリストショットを捉えたときのスティックの「しなり具合」が気に入っているからです。SS をさらに上げると「しなり」が少なくなるため、SS を上げる分を ISO感度を下げることに向けるようにしています。
Aグループでも 1/1000 で撮り始めましたが ISO感度を下げるために 1/3 段下げました。
Aグループでも 1/1000 で撮り始めましたが ISO感度を下げるために 1/3 段下げました。
絞り : F2.8
「開放」一択です。
B/C グループでは、メーカー純正レンズに比べてリーズナブルな TAMRON 70-180mm F/2.8 Di III VXD (Model A056) を試用しました。
B/C グループでは、メーカー純正レンズに比べてリーズナブルな TAMRON 70-180mm F/2.8 Di III VXD (Model A056) を試用しました。
※ 写真撮影, 特にソニー Eマウントに興味がある方向けメモ
— IceHockeyStream.NET (@icehockeystream) May 18, 2022
5/14, 15 の撮影では、レンズにタムロン 70-180mm F/2.8 Di III VXD (Model A056) を使用しました https://t.co/9vCu0Q3TF9
ISO感度 : 2500
上記「SS, 絞り」の組み合わせに対して「(気持ち) 暗め」ですが、1/3段上げて ISO 3200 にすると氷面の白飛びが気になるシーンが増えるので ISO 2500 を選んでいます。
大会開始時には ISO 3200, SS 1/1000 で撮り始め、途中暗さが気になったときに ISO 4000 に上げたこともありました。
大会開始時には ISO 3200, SS 1/1000 で撮り始め、途中暗さが気になったときに ISO 4000 に上げたこともありました。
高感度NR : 標準
まず撮影時に高感度ノイズを軽減しておきます。
ILCE-9 | ヘルプガイド :
https://helpguide.sony.net/ilc/1830/v1/ja/contents/TP0002366766.html
ILCE-9 | ヘルプガイド :
https://helpguide.sony.net/ilc/1830/v1/ja/contents/TP0002366766.html
クリエイティブスタイル : Light
「明るく、すっきりとした色再現にする。爽快感、軽快感など明るい雰囲気の表現に適している。」と説明されているように、暗さを補うため明るめに仕上げる設定を選択しています。
クリエイティブスタイルでは、[Light], [Standard], [Vivid], ... の各設定に対して、[コントラスト], [彩度], [シャープネス] を個別に設定することができ、ジャージによって設定を変えています。
明治, 法政, 日本のように色鮮やかなジャージに対しては [彩度] が効きます。中央, 慶應のように明暗差があるジャージには [コントラスト] が効きます。より「くっきり」見えるように、対戦する両チームのジャージに応じて試合前練習あるいは開始前整列の内に設定を決めておきます。
ILCE-9 | ヘルプガイド :
https://helpguide.sony.net/ilc/1830/v1/ja/contents/TP0002361207.html
クリエイティブスタイルでは、[Light], [Standard], [Vivid], ... の各設定に対して、[コントラスト], [彩度], [シャープネス] を個別に設定することができ、ジャージによって設定を変えています。
明治, 法政, 日本のように色鮮やかなジャージに対しては [彩度] が効きます。中央, 慶應のように明暗差があるジャージには [コントラスト] が効きます。より「くっきり」見えるように、対戦する両チームのジャージに応じて試合前練習あるいは開始前整列の内に設定を決めておきます。
ILCE-9 | ヘルプガイド :
https://helpguide.sony.net/ilc/1830/v1/ja/contents/TP0002361207.html
Dレンジオプティマイザー : Auto
氷面の白飛びを抑えることを狙ってDレンジオプティマイザー(DRO)を活用しています。氷上では場所によって明るさにムラがあるので「Auto」で効き具合をカメラに任せます。
ILCE-9 | ヘルプガイド :
https://helpguide.sony.net/ilc/1830/v1/ja/contents/TP0002361935.html
ILCE-9 | ヘルプガイド :
https://helpguide.sony.net/ilc/1830/v1/ja/contents/TP0002361935.html
その他の設定 (露出, 高感度ノイズに関係しないもの)
- ホワイトバランス : 3700K, A3, M3
- フォーカスエリア : トラッキング, フレキシブルスポットS
- AF被写体追従感度 : 1 ( 1:粘る <-> 5:敏感 )
- AF時の顔/瞳優先 : OFF
- ファイル形式 : JPEG
- JPEG画質 : エクストラファイン
撮影後の編集
ワークフロー
- Photo Mechanic 6 でメモリカードからPCへ写真を取り込み、スター・レーティングをして採用する写真を決定
- Topaz DeNoise AI で一括して高感度ノイズ低減
- DxO PhotoLab 5 で個別に編集して仕上げ
Photo Mechanic 6
撮影した画像データをメモリカードからパソコンに読み込む際に、自分で定めた命名規則に則してファイル名を変更したり、撮影情報や著作権情報, 分類タグなど写真のメタデータを一括して記録することが主な機能です。さらに、大量の画像を軽快にブラウズできます。
3つの用途に使用しています。
3つの用途に使用しています。
ファイル名の変更
「撮影年月日(YYYYMMDD)_撮影時刻(HHMMDD)_カメラで設定したファイル名」に変更してパソコンに取り込んでいます。
Star Rating
最終的に仕上げて公開する「候補」とする写真に「★★」を付けます。
Game Sheet も参照して試合の流れを思い出しながらテンポ良くレビューしていきます。そのため、公開する写真をこのタイミングで厳密に決定するのではなく、選手, チームの偏りや連写中の複数枚のどれが一番か? 等を気にせずレーティングします。
後続の DxO PhotoLab 5 で編集する際に、公開対象から外すものを「★」に変更します。そのため最終的には「★★」が公開した写真、「★」は公開候補としたものの見送った写真、という分類になります。
Game Sheet も参照して試合の流れを思い出しながらテンポ良くレビューしていきます。そのため、公開する写真をこのタイミングで厳密に決定するのではなく、選手, チームの偏りや連写中の複数枚のどれが一番か? 等を気にせずレーティングします。
後続の DxO PhotoLab 5 で編集する際に、公開対象から外すものを「★」に変更します。そのため最終的には「★★」が公開した写真、「★」は公開候補としたものの見送った写真、という分類になります。
選択コピー
「★★」を付けた画像データのみを特定のフォルダにコピーし、後続の Topaz DeNoise AI のインプットにします。
Topaz DeNoise AI
複数画像を一括して処理するため、[AI Model], [Model Preferences] 共に自動検出される推奨値を適用しています。
Photo Mechanic 6 で選択コピーしたフォルダを指定して DeNoise AI に一括して読み込み、画面左下の「Select All」をチェックして右下の「Save Images」ボタンをクリックする、というシンプルな操作です。UI が日本語に対応していませんがそれほど困ることは無いでしょう。
Photo Mechanic 6 で選択コピーしたフォルダを指定して DeNoise AI に一括して読み込み、画面左下の「Select All」をチェックして右下の「Save Images」ボタンをクリックする、というシンプルな操作です。UI が日本語に対応していませんがそれほど困ることは無いでしょう。
処理する枚数が少なければ、一枚ずつ [AI Model] を選択して [Remove Noise] や [Enhance Sharpness] を調整して効果を確かめながら処理することもできます。
DxO PhotoLab 5
DxO Denoising Technologies
DxO PhotoLab 5 では高感度ノイズを劇的に削減する「DeepPRIME」テクノロジーが特長の1つですが、RAW に対してのみ有効で JPEG には効きません。JPEG に対する高感度ノイズ削減効果は Topaz DeNoise AI の方が高いと評価して事前に適用しているので DxO PhotoLab 5 では高感度ノイズを処理しません。
露光補正, 選択的トーン補正, コントラスト
DxO PhotoLab 5 では...
- 写真全体の明るさを調整する [露光補正]
- 写真内の特定の部分の明るさを調整する [選択的トーン補正]
- 写真内の全体または特定の部分のコントラストを調整する [コントラスト]
[選択的トーン補正] と [コントラスト] で氷面と選手の明るさを調整しています。
氷面が対応する [ハイライト] について、 [選択的トーン補正] を下げて [コントラスト] を上げています。これにより...
・氷面の明るさを抑えて眩しさを軽減する
・氷面のディテールを高めることにより遠近感を出す
ことを狙っています。
[中間トーン] では、[選択的トーン補正] と [コントラスト] を上げることにより選手の明るさを上げています。
これらの設定はプリセットにして全ての画像に一括して適用し、ゴール裏やフェンス際など暗さが気になるシーンで個別に明るさを増す調整を施しています。
※ [コントラスト] セクションで [微細コントラスト] 以下の設定を行うには、DxO FilmPack のライセンスが必要です。
氷面が対応する [ハイライト] について、 [選択的トーン補正] を下げて [コントラスト] を上げています。これにより...
・氷面の明るさを抑えて眩しさを軽減する
・氷面のディテールを高めることにより遠近感を出す
ことを狙っています。
[中間トーン] では、[選択的トーン補正] と [コントラスト] を上げることにより選手の明るさを上げています。
これらの設定はプリセットにして全ての画像に一括して適用し、ゴール裏やフェンス際など暗さが気になるシーンで個別に明るさを増す調整を施しています。
※ [コントラスト] セクションで [微細コントラスト] 以下の設定を行うには、DxO FilmPack のライセンスが必要です。